HRカンファレンス講演レポート『あの有名企業社員はなぜ自分で考え行動できるのか~自発性を引き出す「エンパワーメント」の3つの鍵~』
11月6日(水)に開催されたHRカンファレンス特別講演『あの有名企業社員はなぜ自分で考え行動できるのか~自発性を引き出す「エンパワーメント」の3つの鍵~』の内容をご紹介します。
企業が成長するには、自ら考え行動できる人材が欠かせません。しかし、指示を待ち続ける社員が多いという声はまだまだ多いです。そこで解決策として取り上げたのが「エンパワーメント」です。エンパワーメントは、自律した社員が自らの力で仕事を進める環境を作り、社員の潜在能力を引き出す手法で、星野リゾートでも採用されています。社員を劇的に変え、仕事へのモチベーションを高めるための3つの鍵と具体的な実践法方法を紹介しました。
指示待ち組織からの脱却は可能か?
皆さんの組織やチームで、「やらされ感」や「指示待ち」状態のひとはいませんか?ビジネス環境が大きく変わる昨今、一人ひとりが自発的に動き、創意工夫することが欠かせません。
先日11月6日(水)に開催されたHRカンファレンスで、「エンパワーメント」をテーマに具体的な進め方、事例を含めてお話しする機会がありました。このセミナーには、組織開発や人材育成を担当されている方が多く参加。中でも多く聞かれたのが・・・
「イノベーションが起こりやすい職場風土を作りたい」
「やらされ感」や「指示待ち」文化を変えたい
「社員が主体的に行動できる組織にしたい」
という声です。エンパワーメントへの関心の高さが伺えました。
エンパワーメントとは?
日本では、エンパワーメントを「権限移譲」と訳されることが多いのですが、実は、正しくありません。エンパワーメントの本来の意味は、「ひとにパワーを授ける」こと。ブランチャード理論では、さらに一歩進めて以下のように定義しています。
「エンパワーメントとは、社員が持っているパワー(知識、スキル、経験)を解き放ち、それを会社の課題や成果を達成するために 発揮できる状態をつくること」
星野リゾートでは、エンパワーメントを戦略の中心に据えた結果、コロナ禍の危機的状況を乗り越え、さらに高い実績を上げ続ける強い組織として国内外から認識されています。
エンパワーメントの「3つの鍵」
今回のセミナーでは、ピープルフォーカス・コンサルティングの取締役、山田奈緒子がメインスピーカーとして登壇し、エンパワーメント組織に欠かせない鍵を具体的な事例と共に紹介しました。その一部をご紹介します。
まずは、エンパワーメントを実践するため必要な3つの鍵についてです。
■第1の鍵:すべての社員と情報を共有する
ただし、情報をやみくもに開示しても現場が混乱してしまいます。まず必要なのは、現場の社員がタイムリーに意思決定するために必要な情報とは何か?を特定すること、そしてその情報にアクセスしやすい状態を創ることです。
例えば・・・
・役員会議にいつでもだれでも参加できるようにする。
・社長が定期的にブログ/動画を発信する。
・経営数字やお客様の声を誰もがいつでもアクセスできる仕組みをつくる。
などがあります。
■第2の鍵:境界線によって自律した働き方を促す
現場の社員がタイムリーに意思決定できる情報があれば、自主的に動くことができるかというとそうではありません。何をいつまでに達成すればよいか?自分・チーム・組織の役割範囲は?迷ったときの判断基準は?など、自主的に行動するための枠組みが必要です。そしてその枠組みは、現場の社員との対話を通じて設定するのです。
例えば・・・
・リーダーが組織のパーパス、未来のイメージ、価値観の骨子を創り、社員と対話をしながら納得感のある表現に書き換える。
・社員から有志を募り納得できる評価基準を設定する。
・トップ10プランナーというツールを使って、リーダーとメンバーとの間で役割範囲の認識ギャップを是正する。
などがあります。
■第3の鍵:セルフ・マネジメントチームを育てる
意思決定に必要な情報、自主的に行動するための枠組みがあれば、エンパワーメント組織の完成でしょうか?さらに必要なのは、メンバー個人との対話スキル、複数での対話スキルです。メンバー個人が、自分で考え、行動するためのマインド(考え方)とスキル(やり方)。それを体系的にまとめたのがSLII®モデルです。
SLll®モデルは、世界で最も活用されているリーダーシップモデル。相手の状況に応じて、リーダーとしてのかかわり方を変え、相手の意欲と技能を向上させていきます。
SLll®モデルを共通言語化した組織では、
「部下の必要としているものに応えることができるようになった」
「上長と相談しやすくなった」
など、現場でのコミュニケーションの質と量が向上し、自主的に行動できる 社員の育成に大きく貢献しています。
そして、複数名との対話を促進するためのスキルとして、ファシリテーションスキルがあります。このファシリテーションスキルを身に着けると、メンバー一人ひとりからアイディアを引き出し、整理をして、チームとして自立した状態を創ることができます。
*ピープルフォーカス・コンサルティングでは、2000年に日本で初めて「ファシリテーション研修」を提供して以来、大変好評をいただいております。ご興味のある方はこちらをご覧ください。
エンパワーメントは旅です
これは、星野リゾートの星野代表の言葉です。組織の大きさにもよりますが、エンパワーメント組織づくりは1年~3年、場合によっては5年近くかかります。セミナーでは、ケンブランチャード博士と星野リゾート・星野代表とのオンライン対談で語ったコメントを引用しつつ、次のように紹介しました。
「エンパワーメントを成功させるコツは、第1~第3の鍵を愚直に実践することが必要です。導入しやすいところだけ、つまみ食いのように実践してもうまくはいきません」
「エンパワーメントは旅です。旅の途中で困難に直面することもあります。その時に、リーダーの「信念」が試されます。「人の役に立ちたい、よい仕事をしたい」という社員が人として持っている根源的な欲求を信じきれるかどうかが試されるのです」
エンパワーメントは旅。組織のトップのコミットメントなしには、エンパワーメント組織は実現することはありません。 私たちがまず初めにクライアントに確認するのは、このリーダーの「信念」です。
参加者の声
セミナー後、参加者からは次のようなフィードバックが寄せられました・・・
「トップが本気で取り組まないとエンパワーメントは実現できないことが理解できた」
「弊社の組織文化を見直す良いきっかけになった」
「相互理解と自律的な働き方に向けたヒントを得た」
「SLll®モデルについて理解が進んだ」
エンパワーメント組織を築くには、3つの鍵を押さえたフラットな組織文化が欠かせません。一朝一夕で達成できるものではありませんが、日々のコミュニケーションの中で相手は本質的には「人の役に立ちたい、よい仕事をしたい」と願っている存在として接することが大切です。
まずはあなたの周りからエンパワーメント組織に向けて、変化の第一歩を踏み出してみましょう!
そして、人的資本経営実践で、エンゲージメントスコアの向上策を検討しているHRBPの方は、部門単位、チーム単位でのエンパワーメント実践を検討してみてください!応援しています!
公開講座も開催中!
・世界で最も活用されているリーダーシップモデル「SLII®」公開講座、ご自身に合った受講方法で是非ご参加ください!対面型はこちら、バーチャル版(Zoomで開催)はこちら
・日本で初めて提供を開始した「ファシリテーション」オンライン公開講座はこちら
誰もが恩恵を受ける、エンパワーメントの文化をつくる3つの鍵
リーダーにとって、チームが自律的に動ける組織文化をつくることは、常に重要な課題です。従来の指示型からエンパワーメント型の文化へ変えるには時間と労力がかかりますが
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【事例紹介】自立人材と組織の一体感を実現させた誠晃貿易が取り組んだ「エンパワーメント」とは
エンパワーメント組織づくりをテーマにした先月の無料セミナーでは、ゲストスピーカーから具体的な導入事例やその成果について共有いただきました。参加者は経営者や人事担