陥りがちなSLII®の誤った実践法:その2

その1はこちらをご覧ください。

SLII®研修後に実際に聞かれる受講者の声として、今回は下記について考えましょう。

「メンバーの開発レベルについて自分の診断が合っているかどうか不安で難しい。」

SLII®の「診断」は、リーダーがメンバーに対して一方的に使う「分析手法」ではありません。そのためリーダー自身の「診断」が正解か、不正解かを不安に感じることよりも重要なことがあります。それはSLII®が双方向なプロセスだからです。
今回は、その分かり易い例として「開発レベルの相違」に焦点を当ててみましょう。

そもそもリーダーとメンバーが考える開発レベルに相違が生じることはよくあることです。今回は、そのときリーダーがとるべきいくつかの対策のうち2つをとりあげます。

1. 目標の再確認
「開発レベルの相違」の最初の解消法として、リーダーとメンバーは、お互いが認識している目標の内容とそのレベルについて再確認します。そもそも目標にずれがある場合は、最初からボタンを掛け違えているため、リーダーとメンバーの開発レベルについての認識は永久にすれ違ったままとなります。

2. メンバーの考える開発レベルを採用する
「開発レベルの相違」の解消法として、最終的にリーダーはメンバーの考える開発レベルを通常より短い期間で採用します。その短期間に、互いが合意した技能と意欲の状態が観察されれば、仮採用した開発レベルを本採用します。メンバーの考える開発レベルを採用する理由は、メンバーのモチベーションを高めるためです。

これらは、リーダーとして自分自身の診断の正誤にこだわることよりも、そもそも開発レベルの診断に相違が発生し得ることを前提とし、メンバーとの目標や技能と意欲についての具体的で継続的な対話、メンバーのモチベーション、そして観察といったことこそがSLII®の本質であることを教えてくれています。