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ケン・ブランチャード社からの最新情報

エキスパートらが予測する2020年の人事&人材開発:12のトレンド

ビジネスの在り方や戦略が激変している昨今、人事と人材開発分野もそのうねりにのみこまれていることに間違いありません。2020年という節目を迎え、当分野が今年はどう展開していくのか、ケン・ブランチャード社が専門家らの意見をキュレーションしました。その和訳を以下にご紹介いたします。

トレンド1:テクノロジーによって、個別最適化された学習体験が可能になる

Steve Boese氏(Human Resource Executiveの“Inside HR Tech”コラミスト)

従業員体験(エンプロイー・エクスペリエンス)が重視される中、組織は、従業員の仕事や従業員と組織との関係性における個々の瞬間について、具体的に考えるようになる。そして、そうした瞬間がより簡単で価値があり、従業員の気持ちに沿ったものとなるように、プロセスやテクノロジーが開発されるようになる。HRテクノロジーにおいて、従業員体験を重視することで、IT管理者向けではなくユーザー向けにデザインやインターフェイスが作られるようになるだろう。
スマートフォンで例えてみる。I-phoneを始めとしてスマホというのは、どれも全く同じ状態で消費者に届けられる。ソフトウェア、レイアウト、インターフェイス、インストール済みのアプリなど全て同じだ。しかし、起動されて間もなく、ユーザーが自分のニーズに合わせて機能を追加したり変えたり再配置したりして、違うスマホに変わっていくのである。

Boese氏の予測:スマホのアプリストアのように、HRテクノロジーによるソリューションも、柔軟性、応用性、モジュール性に富んだものになる。それによって、ユーザーは自分の好みに応じてテクノロジーを自在に改変し、自分のデータや作業フローや体験を自分でコントロールできるようになる。

詳しくはこちら:What trends will dominate HR tech in 2020? (英語原文)

トレンド2:メンタルヘルスと健康(ウェルビーイング)がより重視される

Meghan Biro氏(TalentCulture 創業者)

心身の健康(ウェルネス)に関する福利厚生がどれだけ充実しているかについて、従業員側と企業側では見方が異なる。エトナ社の調査によると、70%の企業が心身の健康(ウェルネス)に関する適切な便益を従業員に提供していると考えている一方、それに同意する従業員は23%しかいない。さらに、世界各地で働く人々の82%がメンタルヘルスの問題が自分の働きに影響することを心配している。しかし、自分の勤め先がメンタルヘルス問題へのサポートを十分に提供していると感じる人は25%にしか過ぎない。

Biro氏の予測:より包括的な福利厚生が提供されるようになる。ストレスや抑うつといったメンタルヘルスの状態への対処が一般的となり、場合によっては、金銭面でのストレス要因である大学ローンの返済を肩代わりといった支援プランも現れる。

詳しくはこちら:6 Employee Wellness Trends for 2020(英語原文)

トレンド3:ブランド支持者(アドボケイツ)をつくる

Michael Hartland氏(Snap Comms)

口コミはこれまでも有効なビジネスツールであったが、今後、益々そうなる。従業員は、ソーシャル・ストーリーテラーとなる。ソーシャル・ネットワークを介して、彼らの意見が幅広い人々に届くようになる。企業に関するメッセージは、従業員が発信したほうが、その企業(ブランド)自体が発信するときよりも24倍も広く拡散される。それがポジティブな感情を伴うものであれば、企業の宣伝になるが、ネガティブなものであれば脅威となる。

Hartland氏の予測:企業は、より一層、社内のNPS(ネット・プロモーター・スコア)に注意をはらう。そして、従業員体験(エンプロイー・エクスペリエンス)の健全さを確認するために、従業員の気持ちを定期的に把握するようになる。

詳しくはこちら:Internal Communication Trends 2020(英語原文)

トレンド4:「破壊」(ディスラプション)を機会と捉える

Maureen Metcalf氏(Innovative Leadership Institute, CEO)

組織は、自社のトレンドや破壊(ディスラプション)の様相を観察し続け、それらを自社の競争力の梃(てこ)としなければならない。破壊(ディスラプション)の重要性に気付かない組織は破壊されるとよく言われている。組織とそのリーダーに問われるのは、こうしたトレンドをどうモニタリングして、競争優位に結びつけるかということだ。
企業が破壊に対応し発展していく中、リーダーはリーダーシップの質を高めなければならない。組織は変化適応という課題に直面しており、リーダーは自分自身と組織を変えなければならない。既存の考え方では解決できない問題に直面しているのである。

Metcalf氏の提言:リーダーは、単にスキルを身に着けるだけでなく、自分のリーダーシップの質を高めることを追求するべきだ。

詳しくはこちら:Leadership Trends: Lead The Disruption 2020(英語原文)

トレンド5:「チーム」の新しいアプローチ

Spark(ADP)

あらゆる規模の組織は、組織の壁を壊し、人々の潜在力を開放し、エンゲージメントと成果を土台とした「つながりの文化」を醸成しなければならない。仕事は多くの場合チーム単位で行われるにも関わらず、人材管理系のソリューションは、ダイナミックなチームワークを促進するように設計されてこなかった。これからは違う。
未来の仕事は、ダイナミックなチームの潜在力を開放するフラットな組織体制の下で行われる。採用の分野では売り手市場が続いており、優秀人材の獲得の競争は厳しさが増す一方である。そうした中、従業員は、自分のチームを再評価し、別の働き方を模索することを余儀なくされる。

Sparkチームの予測:企業は、自社の人材に加え、高度な専門スキルを有するギグワーカーを補完することで、人材ニーズを満たすことが増える。変化の速い仕事をサポートするギグワーカーは、元従業員であったり、一旦引退した人だったりする。

詳しくはこちら:Trends Driving the Workforce in 2020(英語原文)

トレンド6:仕事は、より包摂的(インクルーシブ)で、手に届く(アクセシブル)ものに

Cecile Alper-Leroux氏(Ultimate Software, Vice President)

社会の高齢化と共に、人材に関する新たなる現実が台頭している。我々の多くは年をとり、障がいを持つことになる。現在、日本、ドイツ、中国沿岸部、そして170万人の人材不足が生じている米国において、我々は記録的な人材不足問題と格闘している。その一方で、世界では10億人以上の人が、何らかの障がいを持っているために、今現在、雇用されていなかったり、十分な仕事を持っていなかったりする。
この巨大な人材力が稼働するために、組織は、彼らの手に仕事が届くようにしなければならない。実際、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の取り組みを行っている企業数は世界で増えている。これからはこうした取り組みを発展させ、ギグワーカー、再雇用される引退者、障がい者(目に見える障がいと見えない障がいの両方)、ニューロダイバージェントのような、従来とは異なる労働力セグメントを取り込むことを明示しなくてはならない。
ビジネスや顧客のニーズを満たそうとすれば、もはや、労働力の大きな部分を占めるセグメントを無視したり排除したりすることはできない。組織は、多様な人材セグメントの人々の力を強化したり補完したりするテクノロジーに投資し、職場や通勤手段への完全なるアクセスを彼らに提供しなければならない。この取り組みの中核を成すのは、新しい機会が届けられるようにアクセシビリティの範囲を広げるということだ。それには人を受け入れるだけではなく、インクルージョンが大切になってくる。

Alper-Leroux氏の予測:組織は、仕事をより流動的で柔軟性のあるものに再定義し、ゼネラリスト、スペシャリスト、ギグワーカー、引退者、リモートでバーチャルなワーカーといったより多くの人々の要求に応える。それには、季節労働者とは異なる周期的または断続的な働き方や、ライフサイクルに合わせた仕事と報酬の与え方が含まれる。組織は、障がいを持つ多様な人々を惹きつけ採用するためにもっと努力をせねばならず、すべての従業員が力を出し切れるよう、働く場所を大きく改善しなければならない。

詳しくはこちら:Trending Soon 2020: Accessibility, Balance, and Adaptability(英語原文)

トレンド7:採用候補者とコミュニケーションする新しい方法

James Haley氏(PandoLogic)

採用市場の2020年のトレンドとして、テキストメッセージが候補者との連絡手段ということがあるが、これは連絡が即時にとれるという意味で担当者は胸躍るだろう。担当者が連絡したい候補者のほとんど全員が常時、電話を持ち歩いている。そして、テキストメッセージを送るのであれば、それが何であれ、短文で魅力的でなくてはならない。それがこのメディアの特性だ。候補者の立場からすると、バスでもレストランでもどこにいようが、短いテキストで簡単に返信できる。電話をかけて話すよりも、テキストで返事するほうがはるかに楽なのだ。
小売業者のウェブサイトは、顧客とのインターフェイスにチャットボックスを好んで使うようになった。顧客にウェブサイト上の長いFAQ(よくある質問)集を参照させるより、チャットボックスの中で、人工知能や自然言語処理技術を用いて、顧客の質問に答え、必要とされている特定の情報を提供するほうがよい。質問に対し即答したほうがよいのに、なぜ、顧客に情報の取捨選択をさせたりするのか。これを採用プロセスに当てはめたとき、この種のテクノロジーは候補者とやりとりするのに有効だ。候補者は得てして同じような質問を何度もしてくる。採用担当者はその都度同じような返信をする代わりにチャットボットを使用することで採用プロセスを通して候補者に情報を提供することができる。

Haley氏の予測:仕事の合理化と自動化という全般的なトレンドは2020年とそれ以降も続く。

詳しくはこちら:2020 Staffing Trends Professionals Are Exctied About(英語原文)

トレンド8:包括的な育成計画を策定する

John Write氏(Eagle’s Flight)

従業員は、入社時の研修だけではなく、組織内で成長したり自分のキャリアを築いたりするための継続的な教育機会を探している。さらには、自分の個別のニーズに対応するカスタマイズされたソリューションを探している。このトレンドに乗り遅れないために、組織は包括的な教育と育成の戦略を策定しなければならない。それによって、従業員の現在と将来のニーズに対応すると共に、組織の現在と未来のニーズにも応えるのだ。
また、組織は生産的な職場環境の妨げとなるものを見出すべきである。たとえば、過多な情報や、作業の中断や研修時間の不足といったことだ。その対処策は人を中心に据えて検討したものでなくてはならない。たとえば、Eメール攻勢を軽減する社内メッセージシステムを構築したり、フレックス勤務時間を許可したり、必要としている人に対しコミュニケーション研修を追加的に行うことだったりする。対策は課題に応じて講じることになるが、どの課題にせよ従業員の視点で考察することが主眼であるべきだ。

Write氏の予測:組織は、人々を前面に置き、クリエイティブな対処策のためにテクノロジーを活用する。各層に適した包括的な育成計画があれば、組織の競争力を維持できる。

詳しくはこちら:4 Important Workplace Trends to Consider in 2020(英語原文)

トレンド9:スキルマッピングと次世代の人々の再教育(リ・スキル)

Udemy

組織は、不要となったスキルを除去するために人員を解雇し、ビジネスの前進に必要な新しいスキルを有した人を採用しようとする。しかし、労働市場がタイトな状況で、希少な優秀人材の獲得で競うよりも、既存の人材を新しい役割に向けて再教育するほうが有効であることにビジネスリーダーは気づき始めた。
テクノロジーによる大規模な破壊(ディスラプション)が起こりうる次の10年間は、継続的なスキルマッピングが人員計画の際に重要になる。スキルマッピングとは、組織の人員が有する既存のスキルと比較して、求められる役割を全うするために必要なスキルを視覚的に洗い出す方法である。これを作ることで、人事や人材育成のリーダーが、主なスキルギャップを見極めることに役立つ。
組織が人員の再教育(リ・スキル)に取り組む中で、構成員の既存のスキルと将来のスキルのマッピングを助ける専門家を雇う動きが見られる。JPモルガンは、自社で今後新しく浮上するスキルセットを予測するために、マサチューセッツ工科大学のデジタルエコノミー・イニシアチブと共同作業をしている。また、JPモルガンは、IT部門における「スキル・パスポート」プラットフォームの実験を始めた。このプラットフォームで、従業員は自分の現在のスキルが診断でき、どのような新しい役割があるのか、キャリアの次のステップに進むために必要な研修は何かを見てまわることができる。

Udemyの予測:2020年、そしてそれ以降、従業員が次世代に向けた準備ができるよう、組織はスキルマッピングを深く掘り下げる。

詳しくはこちら:Learning Trends 2020: The Skills of the Future(英語原文)

トレンド10:組織設計力を高める

Gartner

56%の人事リーダーは、組織設計と変革管理(チェンジマネジメント)が2020年の最優先事項であると言う。その多くの人は、自組織のリーダーには組織の再設計と変革をリードする力がないと言う。また、その他の人は、組織をどう設計すれば、より素早く対応できる働き方を促進できるかがわからないと言い、従業員は相次ぐ変革に辟易していると言う人もいる。
今の時代において、組織体制がワークフローやネットワークにそぐわないものになっていることが多い。ビジネスの運営モデルが変化しているときは、特にそうである。組織の有効性の捉え方と事業の優先事項との整合が取れておらず、計画策定や目標設定の質や浸透度合い、さらにはその成果の測定方法が適切でないことが多い。

Gartnerの予測:不確実性の時代に、より俊敏になり対応力を高めるために、人事リーダーは、トップダウン型の変革管理(チェンジマネジメント)から離れ、組織の下位に意思決定や計画をさせるようにしなければならない。そのためには、人事部門は、変革の戦略に従業員を巻き込んで、共に戦略を策定し、変革の意思決定を行うときに積極的に従業員が関与できるようにしなければならない。

詳しくはこちら:Garter Top 3 Priorities for HR Leader in 2020(英語原文)

トレンド11:学習体験を促進し、個別最適化(パーソナライズ)する

Docebo

教育研修の担当者にとってエンゲージメントは相変わらず難敵だ。学習者のためにベストな体験を提供することは極めて重要であり、そのための新しいやり方が次々と生まれている。

人工知能を用いた学習プラットフォームを活用すれば、個別最適化(パーソナライズ)されたアプローチが増え、パーソナルなトレーナーを使うことも増えていくことだろう。特に、学習者をサポートするために、デジタルコーチが、学習コースを選択したり、新しい内容を紹介したり、質問に答えたりするようになる。さらには、自分がどのようなスキルをどのように身に付けたいか、学習者から要望を出すことができるようになる。
人工知能がどんどん賢くなる中、インテリジェントな学習プラットフォームが、今の学習環境下で学びたいスキルを学習者が見出すことを助け、それに関連した内容を提供してくれるようになる。

Doceboの予測:有効な教育プログラムを提供することが今まで以上に重要となり、ビジネスの成功には、スキルの向上、再教育(リ・スキル)、トップ人材の採用と保持に依るところが大きくなる中で、学習ツールへの注目度は高まる。このような課題への解決策として、人々が自分の得意分野のコンテンツを作り共有できるソーシャルな学習ツールと、個々の学習ニーズに応じたカタログが生成され、コンテンツをキュレーションするツールが挙げられる。

詳しくはこちら:E-Learning Trends 2020 – A New Era of Learning(英語原文)

トレンド12:仕事と融合する研修

EdgePoint

誰しもがスマートフォンなどのデバイスとつながっている中、我々の生活の様々な側面が融合されるようになった。店舗に入るとお買い得情報のプッシュ情報が表示されるのと同じように、未来の企業研修に向けた取組みでは、より包括的で融合された研修を目指すようになる。マイクロラーニングはその先進事例だ。

EdgePointの予測:仕切られた研修(たとえば、ある木曜日の午前中に研修を受けたとして、職場に戻るとその教材を片付け、午後には仕事に戻る)は徐々に消滅していき、学びをすぐに実践するようなOJT型の研修方法が主流となる。

詳しくはこちら:What Should We Expect For The Future of Corporate Training in 2020(英語原文)

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このキュレーション記事の英語原文はこちらでご覧いただけます。

ブランチャード・ジャパンでは、こうした新しいトレンドへの対応として、2020年は主力プログラムのオンライン化やバーチャルトレーニングの強化などに力を入れていきます。どうぞ、お気軽にinfo@blanchardjapan.co.jpまでご相談ください。

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