SLII®によって得たマネジメント能力向上の目に見える成果(日本マイクロソフト 人事本部の事例紹介)
今回は、日本マイクロソフト株式会社 人事本部ビジネスパートナーグループ部 シニアマネージャーの西川(さいかわ)昌邦様からのお話をご紹介いたします。 【研修展開の背景と狙い】新しいビジネスモデルに必要となったマネジメント能力向上 日本マイクロソフトでは、以前あった人材育成部門が解体され、人材育成は、それぞれの事業部付の人事(ビジネスパートナー)が事業ニーズに合わせて検討することになりました。西川さんは、約400名の部隊であるエンタープライズ・セールスの事業部付人事を担当されています。 エンタープライズ・セールスでは、マネジャー層の能力の引き上げが大きな課題だと認識されていました。クラウド化などマイクロソフトを取り巻く環境が激変し、四方八方に競合がいるような状況となり、マイクロソフトのビジネスモデルも大きく変わることとなったからでした。この新しいビジネスモデルに基づく営業活動を展開していくためには、マネジャーが部下を適切に指導することが不可欠な状況だったのです。 マイクロソフトでは、ビジネスパートナーである事業部付人事が、担当する事業部門のニーズや事業の方向性に合わせて事業部長に人材育成や組織開発プランを提示し、合意を得た上で活動します。西川さんはそのプランをSLA (Service Level Agreement)という形式で事業部長と合意形成しました。これはいわば、サービス提供者とそのお客様の契約書のようなものです。そのSLAの中で、西川さんは、マネジャーの能力を上げることを事業部長に対しコミットしました。そして、そのための方策を考える中で、SLII®の受講経験があった西川さんは、すぐに事業部内でのSLII®展開を思いつき、「これだという確信」をもち、2015年に、なんと自己負担でSLII®認定講師養成講座を受講されました。 【研修の学びの実践促進】部下の育成プランを人事と共に作る 晴れて認定講師になられた西川さんは、まず事業部の新任マネジャー12名にSLII®を実施されました。研修は大変好評で、「今まで受けた研修の中で最も効果的だった」「これは全社展開すべき」「部下の業績だけでなくキャリア開発にも目を向けられるようになった」などの声が上がったそうです。 しかし、注目すべきは、西川さんはそれで満足することなく、研修受講後のフォローも徹底的にされたことです。西川さんは次の事後課題を受講者に課しました。 1. 自分の部下にSLII®の内容を説明する 2.自分の部下のタスクに対する開発レベルを診断し人事に報告する 3.自分の部下の育成プランを人事と一緒に作成する 特に3つ目は人事(西川さん)にとってなかなか骨の折れる作業であったとおっしゃっていました。 【効果測定と今後の課題】事業部長も喜んだ研修成果 マイクロソフトでは毎年、従業員意識調査が行われていて、マネジャーに関する質問項目が複数あるそうです。それらの項目について、エンタープライズ・セールス事業部では、元々70%台と高得点をあげていたそうですが、この1年間で、すべて80%台に上昇しました。元が低いレベルであれば10ポイント上げることはさほど難しくないかもしれませんが、すでにかなり高いレベルの状態をさらに引き上げるのは並大抵のことではありません。もちろん西川さんはSLII®以外にも幾つかの施策を打っていらっしゃいましたから、SLII®だけによる効果とは言えないにしても、受講者の反応からして、SLII®に拠るところが大きいと言って過言ではないでしょう。 この従業員意識調査結果に喜んだ事業部長さんは、早速に来年度のSLII®の予算の確保を約束してくれたそうです。 今後の課題として、西川さんは ・SLII®未受講のマネジャーにも早く受けてもらって、SLII®を共通言語化すること ・部下の育成プラン作成が、人事の手を借りずとも自走するようになること ・作った部下の育成プランを確実に実行していくこと を挙げられました。 西川様、貴重なお話をどうもありがとうございました。 全マネジャーとその部下の方々がSLII®を受講したボストン・サイエンティフィック様の事例は【事例紹介】自立人材と組織の一体感を実現させた誠晃貿易が取り組んだ「エンパワーメント」とは
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