研修の成否は上司の関与で決まる:部下育成に求められる上司の行動とは
「研修の成否は上司の関与で決まる」と言われていますが、具体的に上司はどう関与すればよいのでしょうか?ケン・ブランチャード社のマドレーヌ・ホーマン・ブランチャード氏は以下の記事の中で、様々な方法を示しています。人財開発部門の方、ならびに自分の部下を育成したいとお考えの上司の方、是非お読みください。
「部下の学習や能力開発、コーチングにあたって、上司はどのようにサポートしたらよいか」という質問をよく受けます。能力開発の取り組みを成功させるためには、上司のサポートは最も効果的ですが、同時に最も見過ごされていることでもあります。多くの組織では、「部下育成」がマネージャーのコンピテンシーとして掲げられているにも関わらず、学習に取り組む部下へのサポートは軽視されがちです。
部下の学習や能力開発のプロセスに上司が関与することで研修がより効果的になるということは、周知の事実です。総論としては、反対する人もいないでしょう。しかし、実際には上司も忙しく、そこまで手が回らないと考えているかもしれません。ほとんどの場合、部下が受講する研修にほんの少ししか関与できていないのが現状です。では、上司にできることは何でしょうか。より具体的に考えてみましょう。
以下に、いくつかのアイデアをご紹介しましょう。もし上司がこれらのうちのいくつかに取り組むと腹をくくれば、部下は研修を能力開発の機会としてより真剣に受け止めるだけでなく、学習内容にもっと注意を払い、学んだことを他の人と共有し、自分の仕事に生かす可能性が高くなるでしょう。
すべては、エグゼクティブ・スポンサー(事業責任者や人材開発・組織開発の責任者)から始まります。理想的には、エグゼクティブ・スポンサーは次のようなことを行います。
- 研修やコーチングに参加させる人の基準を作り、共有し、その人選に上司を巻き込む。
- 研修やコーチングの費用対効果の試算を、期待される成果や業績への影響とともに提供する。
- 学習成果・キャリアパス・希望する職務との具体的な関連性を明確にする。
- 上司らと一緒に研修内容に関する説明会に参加し、受講者の学習内容を全員がしっかりと理解する。
- 研修やコーチングを受けた人に期待する行動を、上司らがどのように率先垂範して示すか、事例を共有する。(「自分たちが学んでいることを上司は学んでいないのではないか」という疑念を従業員が持つことほど、彼らのやる気を失わせるものはない。「私の上司はこのトレーニングを受けているのでしょうか?」という質問を何度耳にしたことか。)
部下が自分の学習やコーチングに貴重な時間を割いているのであれば、上司も、サポートしていることを示すために、十分な配慮をし、それなりの時間を割く必要があります。それには、次のような方法があります。
- 部下一人ひとりと、現在の仕事と目標、現在の役割に対する満足度や将来のキャリアへの希望について話し合う。組織がポジションやキャリアパスのオプションを定めている場合は、何を目指すかについて話し合い、期待値を管理する。
- ラーニングやコーチングの旅の始まりに、職務上の役割や将来の希望に照らして、現時点での学習目標が何であるかを部下に聞く。個人的に目標としたいことがあるかも聞く。
- (部下がコーチングを受ける場合)コーチによるヒアリングやオンラインの360度評価において、率直なフィードバックを提供する。さらには本人に直接フィードバックする。管理職は、自分のフィードバックに責任を持ち、部下がそのことについて話したがっている場合には、詳細説明や根拠を提供できるように準備しておく必要がある。上司が匿名のフィードバックの陰に隠れたり、相手がフィードバックを読み流すことを望んだりするのは、フェアではない。
- 研修内容の説明会で学んだことを部下と共有し、自分自身の行動や働きぶりと、研修で示された内容との整合性について、部下からのフィードバックを求める。リーダーたるもの、研修で学ぶ内容を率先垂範するロールモデルとなるよう努めるべき。
- 1対1のミーティングでは、各人が何を学び、それをどのように日常業務に生かせるかについて時間を割く。
- 部下全員が一緒にトレーニングやコーチングを受ける場合は、チームミーティングで報告する時間を設ける。
- 数名の部下だけが研修やコーチングを受ける場合は、チームミーティングごとに各参加者に学びのポイントをひとつずつ話してもらうようにする。
- 部下のラーニングジャーニー(学習の旅)が完了したときには、そのことを認知し、褒め称え、チームミーティングで各自が得たものを共有する時間を設ける。
マネージャーには、部下全員がグロースマインド(成長意欲)を実践できるような安全な学習環境を整える責任があります。人は、自分を見ていてほしいし、意見を聞いてもらいたいと思うものです。上司が自分の背中を押してくれて、最高の結果を出し、プロとして成長できることを実感する必要があるのです。部下が何を学び、それをどのように活用するかに少し注意を払うだけで、時間・お金・労力の投資に対するリターンを確実にすることができます。
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