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リーダーシップ・部下育成

部下育成の3大ポイント―時代を超えた普遍的本質

部下育成は、いつの時代にもマネジャーの尽きない悩みの種だ。あなたがマネジャーであれば、「部下たちが、もっとああなれば、こうなれば」と思ったことは一度や二度ではないはずだ。
部下育成について、巷では「褒めて伸ばせ」とか、「上手い叱り方」とか、「信頼して任せよ」などなどの様々な説が飛び交っている。あるいは、あるスポーツ選手(またはチーム)が優勝したりすると、その監督(またはコーチ)の指導法にスポットライトが当たり、しばらくその部下育成方法が流行するということも少なくない。

そんな中、時代が変わっても褪せることのない、部下育成の本質論がある。それが、「リーダーシップにおける状況に合わせて対応するアプローチ」だ。1960年ごろから台頭したこの説は、「唯一にして最善のリーダーシップスタイルはない」という前提に立脚している。実際、効果的なリーダー(マネジャー)は、フォロワー(部下)の状況に合わせてリーダーシップスタイルを変える柔軟性を持ち合わせていることが調査研究により実証されている。

この状況に合わせて対応するアプローチの代表的論者であるケン・ブランチャード博士が、部下を育てながら組織の業績を達成するというリーダーのための実践的モデルを開発し、『1分間マネジャー』という書籍と、SLII®という研修に仕立て上げた。『1分間マネジャー』とSLII®は、40年もの長きに渡り、そして現在でも尚、世界中のマネジャーの部下育成における指針となっている。

ここでは、SLII®理論が提唱する部下育成に関する重要なポイントを3点紹介しよう。それは、①人物にレッテルを貼らない、②技能と意欲の度合いで部下の状況を診断する、③診断結果に自分の指導法を合わせる、の3点だ。

部下育成のポイント1:人物にレッテルを貼らない
私たちは「優秀な部下」や「出来の悪い部下」などといった人物単位の評価をしがちだ。しかし、SLII®では、人物にレッテルを貼るのではなく、その人物に課したタスク(仕事)に対する成熟度(SLII®では開発レベルと呼ぶ)で評価をする。
さらに、人は通常、複数のタスクを担っている。したがって、その人の開発レベルも複数になる。例えば、Aさんは「製品の技術分析」というタスクについては高い開発レベルだが、「分析結果のプレゼンテーション」というタスクについては低~中程度の開発レベルといった具合だ。

部下育成のポイント2:技能と意欲の度合いで部下の状況を診断する
部下の開発レベルを見極めるときには、そのタスクに対する部下の技能と意欲の度合いに注目をする。先のAさんの例に当てはめると、
・ 「製品の技術分析」というタスクについてAさんは経験が豊富で、自力でタスクを難なくこなすことができるので、高い技能を持っている
・ さらに、このタスクに対して自信と自負を持っている。つまり、高い意欲も持っている
・ 従って、Aさんの開発レベルは最高水準の「レベル4」である(SLII®ではD4)
と診断できる。

一方、「分析結果のプレゼンテーション」に関するAさんの状況は次のとおりである。
・ Aさんはこのタスクを何度かやったことはあるもの、まだ慣れておらず、事前に誰かがリハーサルに付き添って助言をしてあげないと、本番ではおぼつかない。技能は低~中程度である。
・プレゼンテーションに対し、かなりの恐怖心や苦手意識をもっている。つまり、意欲は低いということになる。
・従って、Aさんのこのタスクに対する開発レベルは「レベル2」(D2)ということになる。

他には、あるタスクの経験が浅く技能が身についていないが、新しいタスクに対してとても意欲的になっている状態がレベル1(D1)、技能はそれなりに有しているのだが、まだ自信が十分に備わっていない状態はレベル3(D3)となる。

部下育成のポイント3:診断結果に自分の育成方法を合わせる
人はそれぞれ、自分の好みの指導法(SLII®ではリーダーシップスタイルと呼ぶ)を持っている。部下に細かく丁寧に指示をするのが好きな場合、それをありがたく思う部下がいるかもしれない反面、「マイクロ・マネジメントだ」と指導をうるさく感じる部下もいるかもしれない。
または、自分は部下を全面的に信頼して任せるというスタイルの場合、それをありがたく思う部下がいるかもしれない反面、「放置されている」と落胆する部下もいるかもしれない。
唯一にして最善のリーダーシップスタイルはないのである。
自分の組織の業績を上げるためには、部下が早く成長し成果を出せるようにすることであり、そのためには部下が必要としていることを提供することである。そこで、先ほどの部下の開発レベルの診断が役立ってくる。
Aさんは、「製品の技術分析」については技能も意欲も高いD4レベルだった。Aさんのマネジャーは、このタスクについてはAさんを信頼していることを伝え、あとは任せるという「委任型」スタイルを取ればよい。
「分析結果のプレゼンテーション」については、プレゼンテーションの組み立てを一緒に考えてあげたり、話し方のコツを伝授してあげたりと技能を高める手助けが必要だ。それと同時に、Aさんが前向きな気持ちでプレゼンテーションに取り組めるよう、このタスクの意義やAさんにとってのメリットを伝えたり、Aさんの不安な気持ちに耳を傾けたりといった、メンタル面でのケアも必要となる。
こうして、マネジャーとしては、どの部下にどのタスクを課すか、それぞれのタスクに対してどんな指導を提供すればよいのかを見極める。これこそが、部下を育て、かつマネジャー自身の時間の使い方の効率を最大化する方法だ。

SLII®にはもっと奥深いフレームや方法論がある。マネジャーになったら一度はSLII®を勉強してはいかがだろう。

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