成長の秘訣は魔のD2にあり
新しい仕事をマスターするまでの4つの段階
この1,2年で、多くの方々がオンライン会議のスキルをマスターしたことでしょう。コロナ禍のみならず様々な環境変化や絶えまない技術革新にさらされている私たちは、常に新しいことを習得していく必要があります。ひと昔前であれば、学ばなくてはならないのは若手社員であり、年配の社員は教える側でした。しかし、そのような役割区分はもはや意味をなしません。どんなベテランも、学び成長していかないと、取り残されてしまいます。
ケン・ブランチャード社のSLII®のモデルは学び方と教え方について多くの示唆を与えてくれます。SLII®のモデルによると、新しい仕事に就いたときや初めてのタスクを与えられたときから、それをマスターするまでに、4つの段階があります。SLII®ではそれを「開発レベル」と称しており、その4つとは次のとおりです
D1-「意欲満々の初心者」
初めて自転車に乗るのが待ち遠しかったことを覚えているでしょうか?何か新しいことを学び始めるとき、たいていの場合、わくわくしてます。「学べばすぐにできるようになる」という錯覚にも陥りがちです。
D2-「期待が外れた学習者」
いざ、新しいことを学んでみると、思いの他、難しいことに気がつきます。乗り始めた当初は、ペダルを漕いだり、ハンドルを握ったり、バランスを取ったりするのが難しく、恐怖を感じるものです。
D3-「慎重になりがちな貢献者」
基本的な技能は身に付けているけれども、まだ十分な自信がない状態です。自転車で街中を走ることはできても、人混みの中や車が多い道路では、ちょっと怖いときですね。
D4-「自立した達成者」
このタスクに関しては、もう完全にマスターできており、自信も兼ね備えている状態です。自転車でどこに出掛けるのにも不安はないし、子供に乗り方を教えることもできます。
魔のD2レベル
SLII®モデルの開発レベルに関して重要なことは、その人物全体のレベルではなく、その人が担うタスク(仕事)に注目することです。人が新しいタスクに就くときに、誰でも概ね、D1からD4までの道を通ります。ですから、開発レベルはその人物全般のレベルを示すものではないのです。たとえば、「Aさんは社会人2年目だからD2だね」という言い方はあり得ません。「Aさんは、〇〇の仕事に関してはD2で、△△の仕事に関してはD4だ」というふうに表現するのが正しい使い方です。
たとえば、ベテラン社員であっても、2年前に、オンライン会議の開催というタスクを与えられたときはD1からスタートしたはずです。(そのころ、既にオンライン会議のスキルを習得していたなら別ですが。)ただ、それを命じられて「慣れないことをやるのは嫌だなあ」とか「失敗して恥をかくかもしれない」とか思ったなら、D1ではなくD2からスタートすることになります。
このように、D2のレベルにいる時は、そのタスクに対してネガティブな気持ちを持っているので、厄介です。いかにして早く、このレベルを抜けられるかが、その人にとっても、組織の生産性にとっても鍵となります。
D2からなかなか抜け出せないと、自分の進捗が遅いことに対して強い不安を感じるようになります。また、周囲から必要な支援が得られておらず、無視をされているような感覚に苛まれることもあります。このようなネガティブな気持ちが続くと、そのタスクをあきらめてしまったり、最悪の場合は、会社を辞めたくなったりします。
D2レベルに対処する方法
こうした最悪の状況に陥る前に、できることがあります。ここでは、D2のマンネリ化を防ぐためのヒントをいくつかご紹介します。
自分がどんな時にD2になったと感じるかを自己認識する
自分を落ち込ませているその要因がわかれば、それに対処することで、不快感を取り除けるかもしれません。もしあなたの上司がSLII®を学んでいれば、そうすることの支援ができるはずです。自分がD2にいることを率直に伝え、相談にのってもらうとよいでしょう。
D2は自然な成長段階であると心得る
D2は自己開発の途上に訪れる自然の摂理であり、いつかは過ぎ去り、その仕事をマスターする日が訪れることを信じましょう。
誰しもが通る段階であると心得る
誰もが同じような経験をしていることを認識することで、心理的に救われます。あなたは一人ではありません。
過去の成功体験を思い出す
過去に、新しい仕事に就いて、いったんはD2に陥りながらも困難を克服したことが何度もあるはずです。それらの経験を思い起こしてみてください。
D2であることを祝う
D2にいるということは、あなたが学び、成長していることを意味します。それは大変なことです。あなたの神経ネットワークを再構築しているようなものですから。しかし、その努力によって、より良い自分になることができるでしょう。
きっと、現在の皆さんは、今はオンライン会議を自在に使いこなし、組織の生産性を大きく向上させていることでしょう。学び、成長する能力は、自分を、そして所属する組織を成功するために必要なスキルです。D2レベルで生じる居心地の悪さに慣れることが、生き残りと飛躍のための最良の方法なのです。
※本記事はケン・ブランチャード社の以下の記事を参考に、書き下ろしました。
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