社長の姿勢が社員の離職を招いた
人手不足に手を打つため、辞めていく社員に話を聞くことから始めた。返ってきたのは、「仕事が面白くない」という答えばかり。その原因が星野氏(社長)のマネジメント姿勢にあることも分かってきた。
これは、1か月前の2018年10月29日に発行された日経ビジネスの特集記事「星野リゾート 世界への成功方程式 ~すべては人手不足から始まった」の中の一文です。
ちなみに、ときは、今から20年以上前のバブル経済。好景気により、温泉旅館の採用に手を焼き、同時に定着率が低いことに星野氏が悩んでいたころの話です。少子高齢化による人手不足の今日においては、優秀な人材を確保し保持することは、業種を問わない重要課題となりました。
1991年にトップの座に就いた星野佳路氏は、古い体質だった会社を改革しようと意気込み、トップダウンの指示を繰り返していたといいます。その結果、社員にはやらされ感が募り、何も発言できない風土に嫌気がさし、会社を離れていったそうです。そこで、星野氏は自身の経営姿勢を見直し、ケン・ブランチャード博士のエンパワーメント手法を取り入れ、社員が「自分で考えるから楽しい」と思える社風と仕組みを作り上げていったのです。
その具体的な方法論や実態については、こちらの記事をご参照ください。
この記事の中では、ブランチャード・ジャパンを統括するPFCの黒田由貴子による次のコメントも紹介されています。
米国留学前の星野氏は慶應義塾大学で体育会アイスホッケー部に所属していた。当時を知る、ピープルフォーカス・コンサルティングの黒田由貴子氏は「当初のトップダウンが一昔前の体育会的リーダーシップだとすれば、その後のエンパワーメントは社員に奉仕するリーダーのあり方で対極と言える」と話す。
ところで、星野氏がバイブルと称する『社員の力で最高のチームをつくる1分間エンパワーメント』(ケン・ブランチャード他著)の新版が出てから、当社に様々な企業からのご相談が増えている一方、「うちはトップが変わる気がないからダメだ」という担当者の嘆きの声もよく聞かれるようになりました。確かに、この書籍の内容を実践するには、トップの覚悟が不可欠です。
ただし、星野氏に学ぶべきことは、エンパワーメント経営を実践したことだけではありません。社員の声に真摯に耳を傾け、その原因を探るのに自身の行動を顧みたことにも注目すべきです。自省するより他責するほうがラクですから、多くの場合、社員が辞める理由は、トップは中間管理職にあると考え、中間管理職はトップにあると考えがちです。
特に大企業の場合、「直属の上司への不満」を理由に会社を辞める人が多いと言われています。したがって、中間管理職が自身のマネジメント姿勢を振り返り改善することで、定着率を高めることは可能なのです。そのために、ケン・ブランチャードには『1分間リーダーシップ』と『1分間マネジャー』があり、SLII®研修があります。
今後、深刻さが増すことが間違いない人手不足問題。トップは『1分間エンパワーメント』を、中間管理職はSLII®を学び、社員が定着し活躍する組織を作っていきませんか。
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